まるで打ち上げ花火みたいだった



あたし達の見ていた夢は



黒い闇を覆いつくす光と音の洪水



目眩ましのお祭り




ねえ   ハチ


今年もそろそろ あの海に初雪が降る


季節外れの花火を独り見上げていると


飼い慣らしたはずの寂しさが


どうしようもなく暴れだすんだよ




ねえ  ハチ



あの海に帰りたい



みんなに会いたい



ねえ  ハチ



あんたと暮らしたあの部屋は


エレベーターもエアコンもベランダもなくて


住み心地は悪かったけど


あたしは あの場所が好きだったよ




あんたがいたから



ねえ  ハチ


あたしは自分を捨てた母親が


したたかに生き延びていた事に傷ついたんじゃないの


人並みで平凡な女に



成り下がっていた事が疎ましかったんだ




あたしは哀しい人間だよ



ねえ  ハチ



4つの時 母親に捨てられて


15の時たった1人の家族も亡くして



夢も希望も持っていなかったあたしには


歌は生きる為の手段に思えた


金も名誉も全部欲しかった



だけど今欲しいものはただひとつ








もう一度



立ち向かう勇気




ああああああ