ねえ ナナ



あたしがブラストの活躍を
心の底から喜べなかったのは


ナナが知らない人みたいに
なりそうで怖かったから



その分 なおさらタクミに執着した



あたしは いつも その繰り返しで



全然進歩がなかったよ



たとえ愛されなくてもいいから愛したい


誰かを心の底から


ただ真っ直に


一番シンプルな事なのに




どうしてそれがこんなに難しいの?




ねえ ナナ



ナナの最後の言葉が



今も希望と絶望の間を行き来する



独り言みたいに    小声でつぶやいたよね




「 海 が 見 た い 」




ねえ ナナ



人の感情は たやすく揺れ動いて


目に映るものはみんなまやかしで


そこには確かなものは何ひとつない


だけど月は欠けているように見えても


本当は常に形を変えずにそこに在るって事



忘れないでね




ねえ ナナ



ナナが今 一番大切にしているものは  何?



赤いラヴジャケットもピストルズのCDもヴィンテージのギターも



全部置き去りにして



今  どこにいるの?




ああああああ