NANA COMICS #9
   コミックス9巻 2003年11月19日 第1刷発行
* 第29話 *
ヤスのところから戻ったナナは、タクミの口から結婚することを聞き、そしてレンとのことはバンドの事も考えて、くれぐれも慎重に、と言われる。 思ってもみなかった言葉に激しく動揺するナナは、奈々と初めて買ったお揃いのイチゴのグラスを割ってしまい、さらにパニックになる。
タクミはトラネスのメンバーにも結婚のことを話すが、今度はレイラが激しいショックを受ける。

* 第30話 *
とても歌う気になんてなれない、と、レイラはヤスの部屋に閉じこもった。メンバー・スタッフそれぞれがレイラを心配していた。 ナナがノブに二人が結婚することを話した。ナナはノブをとても大事に思っていたので、奈々を許せないと思ってしまう。週刊「SEARCH」編集部、初登場。記者がレンとナナを狙っていた。 なにやらトラネスとブラストをどうにかする企みを持っているようだ。ようやくトラネスのレコーディングが始まった。

* 第31話 *
奈々と顔を会わせづらいナナは、ずっとレンの部屋で暮らしていた。トラネスはレコーディングが延びてスタジオで合宿状態。 週刊「SEARCH」の取材は続いていた。ブラストは仮契約から話が進んでいなかった。川野さんとビジネスの話をするヤス。うまくいかないイライラか、ナナはシンとケンカ。
家に戻ったナナ、しかし奈々の部屋は空っぽ、そしてテーブルの上に置き手紙があるだけだった・・・。

* 第32話 *
「奈々が引っ越した」と話をする京助・淳子・章司。章司は「タクミ」と聞いてトラネスの?!と驚く。 タクミ&奈々の新居にナオキが遊びに行く。ナオキは奈々と初対面だった。 シンが久しぶりに奈々に電話をする。何も知らないシンは、タクミの声が聞こえてすべて悟る。そこでレイラのことが気になり、会いに行く。 ナナは奈々の手紙を読み、レンに「これはラブレターだ」と言われるが、ただひたすら涙をながすのだった。


感想
「バンド」としての話が多くなってきたなあ。いろんな人物の思いも浮き彫りになってきた。

タクミが結婚することを聞いたレイラは、泣きながらシンに電話をし、そしてヤスの家に行く。ほんとにまあ、ヤスも大変だよなー!!突然ナナが飛びこんできたり、レイラが飛びこんできたり! 「あたしは歌ってないと価値がないのに」ってそんな悲しいことを言われても、どうすることもできないヤスもつらそう。後で川野さんとも話してるけど、ほんとにいろんなもん抱えてるなあ。 もっと自分の幸せ考えるようになれたらいいのにな。
レイラにとってヤスは「昔の男」で、タクミが「今現在好きな男」だったのか?そんな風には見えなかったけどな・・・?何度もシンと寝てるし・・・?? でもレンもタクミもヤスも、ほんとにレイラを大事に思ってるのはよくわかるよね。

ナナがノブにタクミと奈々の結婚の話をする。「おれは何でカヤの外なんだ?」というノブ、アンタがカヤの外なんじゃなくて、タクミの段取りが早いんだよ、きっと。 だからナナも「何でたった一晩であんな事に」って言ったんだと思うよ。でも「結局あいつはタクミが好きなんだよ」って思ってたら、確かにもう何も行動できなくなるだろうな。 この時の二人の友情は素晴らしいと思った。「あんたに出会って初めて世の中捨てたもんじゃねえと思ったんだ」なんて、素敵や〜〜ん!

タクミ&奈々の新居に押し掛けるナオキ。彼もまた二人のことが心配なのが見え見え(笑)。「タクミが結婚なんてありえなーい!」って叫んでたし、奈々には一度も会ったことなかったしね。 けど、ラブラブの二人を見てとても納得&満足したようで、よかったよかった。ただその後、レイラに余計なメールを入れて、またもや落ち込ませてしまうのも彼らしい(汗)。
いやしかしあのラブラブっぷりはかなりいい感じだわ。特にお風呂のシーン。もう奈々にはタクミに対する「不安」はどこかへ吹っ飛んでしまったみたいね。
二人のことに気付いたシンがレイラを案じ、そして彼女のために歌を歌う。ここもまた、マンガゆえ、音がないのが残念でしょうがない(泣)。レイラは彼の歌に確実に慰められたことでしょう。


「勝手に」 タクミの心理
タクミはあまりナナと面識はなかったんだよな、確か。奈々とのことを話し、そしてレンのことも、バンドを含め慎重にと警告。この人もいろいろと大変ね。 とりあえず要点だけ話して、帰るわけだけど、ここで奈々をベッドへ・・・。おいおい、妊娠初期のエッチは危険なんだぞ(汗)。
「ナナを怒らせてるのに」という奈々に「それよりおれの怒りを鎮めてくれ!」とここで初めて怒りをあらわにする。・・・そうか、怒ってたんだ、やっぱり。というか、奈々はちゃんと 謝ったのか?タクミと間をおかずにノブともやったこと。「他の男にヤラれっぱなしじゃ治まらねえ」ってそりゃそうだろう。 しかしその後の「おまえは何の心配もせずにおれの機嫌だけ取ってりゃいーから」って、それってどうよ?!私、こんなん言われたらかなりムカツキますけど(怒)。 このセリフに愛は感じないな。

メンバーに結婚を発表した時、「愛なんて後付けだって」って、ええ?!愛してるんじゃないのか?! 「己の欲望をより多く満たしてくれる相手を愛してしまうものだ」・・・・・やっぱ、この人よくわからん・・・・(汗)。

ヤスに呼び出され、部屋に閉じこもっているレイラのことを聞き、鍵を預かるけど、この時タクミ自身が迎えに行かなかったのは正解だと思った。というか、ここは エライ!と思った。変に優しくするのもダメだもんね、よくわかってるやん!なんてね。

ナオキが新居に来た時、ファンのことを「虚像に入れこむ理解に苦しむ存在」と話している。確かにそう思うと思う。実際にはほんとの自分なんてわかってないんだから。 だけども「奈々は現実が理想とは違うこと、それなりにわきまえてるから」とタクミ。要するに自分を理解している、と思ってるんだろうな。タクミの仕事に文句も言わないし。わがまま言わないし。
「頼むから長居するな。新婚初夜の邪魔するな」って、可愛いとこあるやん☆お風呂でのやり取りは十分愛を感じるんだけどなあ。。。むむむむ・・・


「勝手に」 ナナの心理
ナナはノブと奈々が仲良く付き合ってるとばかり思ってたのに、突然のタクミからの電話で奈々の妊娠を知り、そして家に帰ると結婚、引っ越す、新しい相手探せ、その間、奈々からは一言も何も聞いてない。 いくら優しく見守るって決めてもこれじゃあ辛すぎるよ。そしてドアの向こうの奈々の部屋からはベッドのきしむ音・・・。頭が変になりそうなのもよくわかる。
そして不意にイチゴのグラスを床に落として割ってしまう。奈々と初めて買ったお揃いのグラス。もう何も考えられなかったナナ。 二人でお揃いの、という奈々の気持ちを「割ってしまった」。
一つになってしまったグラス、お揃いじゃなくなったグラス。・・・一緒に割った。これでまたお揃いになった。よかった。・・・
その自分の行動を覚えていないナナは気付くとレンの部屋にいた。 帰りに店でイチゴのグラスを「ひとつ」買う・・・。
このグラスの存在をとても大切に思うナナは、奈々の気持ちもすごく大切にしてるんだよ。

ノブと話をした時、「友達なら真っ先に駆け付けて話聞いてやるべきだったんじゃない?」と言われ、ハッとする。それは泣きながらヤスの家へ行き、「普通ならこういう時どうするの?」 という答えだと思った。それをノブがさらっと言ったのだ。
落ち込むノブを励ますナナ。人間なんか大嫌いだった私があんたと出会って変わったんだ。あんたは私よりも何十倍も心がでっかい!頼りなくなんかないよ! 一生懸命、ナナなりの言葉で励ますうちに、いつの間にかノブの胸で泣いていた。イチゴのグラスの包みを抱えて・・・。そしてやっぱり奈々を許せないと思ってしまったんだね。

シンとシビアな言い争いをした後、満ち足りない月を見上げて「あたしもあんな感じ」と言ってるのはどういうことなんだろう。 レンといても満たされない、って、「愛だけで私は満足できない」ってことだろうか。でもステージに立ってると満たされるってこと、そして だからこそ夢を守り抜かなくては、ってことかな。要するにそれは単純に言うと「私は愛よりも夢を守る」ってこと?

家に帰ると奈々の部屋は空っぽ。テーブルの上には置き手紙。ナナがとにかく目指しているもの、「歌で成功する」ということを、奈々も切に願っている。 そして「奈々にとってのヒーローは自分だけ」という気持ちが、とっても嬉しかったと思う。レンが言う通り、ラブレターだと思いたい。奈々の気持ちを無にするわけにはいかない。 私は何が何でも成功してみせる。今までよりもさらにその思いを強くしたのではないだろうか。


9巻のここがツボ!
◎ 「つーかノブの子じゃねーのか」 ⇒ タクミがメンバーの前で結婚宣言した時、無言でひたすら青ざめながらこのセリフを繰り返すレン。この一連の場面がとても好き。
◎ 「うるっせーな。男ならかかってこい」 ⇒ シンとケンカして、服を脱いだままノブのベッドで寝てしまったナナが、起こされたノブに言ったセリフ。 さらに「ほれ」と手書きでかいてあるところもかなりツボ。
◎ 「トラネスの?!」 ⇒ 京助・淳子・章司が奈々の結婚相手の話題をしていた時、章司が思わず叫ぶ。その後の淳子のリアクションは大爆笑だった(笑)。