NANA COMICS #8
   コミックス8巻 2003年5月20日 第1刷発行
* 第25話 *
ナナが上京する時、ホームでヤスと別れ、そして車内で奈々と出会った時の回想から始まる。花火大会は台風で流れ、みんなで後で川原で花火。週の半分以上をレンの部屋で過ごしていたナナ。 バイト先で気分が悪くなった奈々は薬局で妊娠検査薬を購入、即検査で陽性が出た。
美里とシンが話している時、シンの口から「僕なんか産まなきゃよかったんだ」という言葉が出、美里は絶句する・・・。

* 第26話 *
奈々は産婦人科へ行き、妊娠6週目と診断。つわりがひどく、食欲がない。夏休みが終わり、美里が地元へ帰った。 シンの家の事情を語る奈々とナナ、お互い、「母性本能」を考える。早速タクミが奈々に会いにくるが、奈々は拒絶。 体調の悪さで勘付いたタクミ。ノブを「彼氏」と聞き、すぐにノブに電話をし、奈々の妊娠を告げる。

* 第27話 *
ホテルの部屋で過ごすシンとレイラ。しかしレイラは新曲の歌詞ができないと悩んでいた。ヤスとナオキがタクミと奈々のことで話していた。 思ってもみなかった出来事に、ノブは言葉が出ないでいた。ノブと一緒にいたナナもタクミの電話で奈々の妊娠を知り、ノブとナナはパニックで口ゲンカ。 タクミはひたすら奈々に優しく、部屋に来たノブは奈々に責め寄るのだった・・・

* 第28話 *
ヤスの部屋にナナが飛び込んでくる。奈々と普通の友達になりたいのに、どうしたらいいのかと苦しんでいた。奈々は一人で京助&淳子の家に行き、そこですべてを話し、今後の決意を決めた。 部屋に戻るとタクミが待っていて、奈々の気持ちを聞くと、「結婚するか」と言った。


感想
モノローグが、そして物語の視点が奈々からナナに移りましたね!!これもまた意味があるのかな??

この巻はとにもかくにも、奈々の妊娠がもうほんとに驚きでした。しかもつわりがひどい、ってのもこれまた、あまりないパターン。 私はもう瞬時に「タクミの子だ!」って思ったのですが、他の方はどうなんだろう??というか、ただ「そうあって欲しい」という願望も多少ありましたが(笑)。 ナナがピルをもらってた病院は、奈々が受診した病院と一緒だったのね!こんなところに意外な共通点があったとは!

奈々の妊娠を知ったノブ、もうその先はノブが気の毒でしょうがないわ。ノブはただ、奈々が好きだっただけなのになあ(泣)。 私は決して奈々を嫌いではないので、悪くは言えないけど、奈々は彼をズタズタに傷付けたことを、決して忘れてはいけないと思うのです。 ノブに何を言われても、「ごめんなさい」としか言えないのも、ほんとにどうしようもないもんね。

25話でのレンとナナの会話のやりとりはすっごく好き。みそ汁とか作ってるナナ、そして茶豆に喜ぶレン。でもそのあとかなりエロい展開になってたけど(笑)

モノローグ25話、「あの頃あたしには譲れない夢(=歌で成功する)があって、おかげで沢山のものを手に入れ(=それなりに夢が叶った?)、かけがえのないものを失くした(=レン?バンドメンバー?奈々?愛?友情?)。 だけどがむしゃらに生きたから、もう何も悔やんでなどいない。(=夢に向かってない?すべて終わった?) ただ心残りは一つだけ。(=奈々は幸せに生きているのかどうか)⇒ ねえハチ、あんた今、笑ってる?」  ・・・・・同時に解釈も入れてみましたが、これはかなり壮絶な展開が待っているような気がしますね?!
27話、「友達は今も上手く作れないよ。まだ少し、怖い」 ・・・ナナは遠いどこかで一人でいるのか?一体何がどうなってそういう状況になったんだろう? さっぱり予想ができません・・・(泣)      


「勝手に」 奈々の心理分析
妊娠して、とにかく思いつめる奈々。今回も京助・淳子と会話してた内容でかなり納得。
堕ろして何事もなかったかのようにできなかったのは、新しい命を粗末にできなかった、それは恐らく誰にも備わってる「母性」というものでしょうね。 ただ、そこへタクミの優しい言葉がかなり影響している。それは奈々が何より求めていた、
「タクミ=安心」というものに思えたのじゃないか? まあ、もちろん根底には「タクミの子」ってのがあるからだろうけどね。恐らく奈々は確信してただろうし。だから、もし仮にノブがタクミと同じセリフを言ったとしても、奈々はうんとは言わなかったと思う。

たとえノブを裏切ることになっても、タクミが結婚せずにただ援助だけするにしても、普通の結婚生活ができなくても、「ただ新しい命を守りたい」「産んで育てたい」、それがとにかく奈々の思いだったんだろう。 流されてばかりで、カラッポだった奈々がここまで決意するのは、よっぽどの覚悟だったと思うわ。
だけども「シングルマザー」にまではなりきれなかったのは、やっぱり奈々だなあ、って感じかな。 タクミの「結婚するか」の言葉は思いもしなかったけど、すんなり受け入れてたし。大体はそこで「私はノブを裏切ったのに、私だけが幸せになるなんて」「ノブとも寝た女なのに、あなたの子じゃなかったらどうするの」とか思いそうなもんなんだけど、 それもこのマンガのすごいところだと思う。そしてそこは26話の終わりでナナが語ってる、「人は誰しもそんなに強くはなれない」ってことになるのかな。


「勝手に」 タクミの心理
社員食堂でカレーを食べるタクミとレン。「何だかんだ言って(奈々が)好きなんじゃん」と言われ、図星。「そうか、これが好きってことなのか」、とでも 思っていそうな表情。「早く終わんねえかな、夏休み」・・・って、あ、そうか、美里がいるから、会いに行けないんだったんだ。ちゃんと守ってたんだねえ♪電話しても拒否られてたしね。 この辺でようやくちょっとだけ、ほんとに奈々が気に入ってるんだなあって思えるようになってきた。

そして美里が帰ったその日に部屋に来たでしょ?!それもナオキいわく、「一日中ソワソワしててすっ飛んで帰った」らしいし。ここで奈々の妊娠を知るんだけど、私はその対応でタクミの絶大なる愛を感じたよ! ノブを「彼氏」だと言ったのに、そのノブにすぐさま「どっちの子でも奈々が産みたいなら、おれは認知して面倒見てやろうと思う」なんて、そうそう言えるもんじゃないよ?! ・・・って私は思ったんだけど、淳子は「自己中で威圧的な男としか思えない」って言ってたね・・・?(汗)
単に私は個人的にタクミのファンなのでひいき目があるのかもしれないな(汗)。

まあ確かに、何でそのセリフを奈々に直接言わないんだ?とも思う。
タクミにしたら、電話でキレられ、やっと夏休みが終わって会いに行ったらあからさまに拒絶されるし、 つわりで苦しんでるし、大丈夫?と心配したら「『彼氏』の子かもしれないし」とか言われて、とにかく気分が悪かった。ここはひとまずその『彼氏』から攻めてみよう。ヤツはこのことを知ってどう出るのか?俺の気持ちは言った通りだ、後はお前も奈々と話をしろ、 そしてどちらかを選ぶのは奈々だ。
・・・・・てな感じでしょうかね???その方が確かに手っ取り早いような気もする。ノブには言わないで!と奈々は叫ぶが無視。言わずにいたって何も解決しないしな。

別れたつもりはこれっぽちもなかったのに、ノブが「彼氏」と言われりゃ「人の女に手ぇ出したのはそっちだろ」とも言いたくなるってもんでしょう。 そのことで奈々を一言も責めないだけすごいと思うわ。ベッドに運んだ時もとにかく優しかったし。奈々が京助&淳子の家から戻った時も、ちゃんと待ってたね。私も奈々と同じように、帰ったと思ったよ。

何だかんだ言っても、「結婚するか」なんて、ちゃんと「愛してる」って気持ちがないと言えるもんじゃないでしょ。しかも売れっ子ミュージシャンなんだし、女はいくらでも寄って来るんだよ、って思っても不思議じゃないし。 とにかく彼の素早い判断はかなり惚れました。奈々への愛を確信しました。


「勝手に」 ナナの心理
今まで仲のよい友達なんかいなかったナナが、上京途中の列車で奈々と出会い、共に暮らし始める。この子がまた汚れがなく、可愛くて、そこにいるだけで 場が華やいで、愛しくてたまらない。そんな思いが決壊ギリギリになっていた。
そんなとても可愛くて大好きな奈々が妊娠した。普通は友達ならこんな時どうしたらいいんだろう?なにもわからない。ただタクミが憎い。子供なんか産まないで。戻ってきてよ、ハチ!タクミのせいで奈々が離れていく、そう 思ったんだろうな。ヤスに話を聞いてもらい、落ち着いたナナは「大丈夫だよ、干渉せずに見守るよ」と笑顔で言う。ただそれが「普通の友達付き合い」というものなのか、まだよくはわからなかった。 奈々の幸せを心から願えるような、そんな出来た人間にはなれなくても、奈々にとって自分はヒーローでありたい。大丈夫、あたしも頑張るよ、ハチ。
・・・・って感じかな〜?!