NANA COMICS #5
   コミックス5巻 2002年5月20日 第1刷発行
* 第13話 *
レンを含めトラネスのメンバー、レイラ・タクミ・ナオキ初登場。ナナが来てることに気付き、慌ててヤスに電話をするレン。奈々の携帯に連絡が行くかもしれないと知ったナナは待ってるのは性に合わないと、自分からレンに電話をし、ホテルまで会いに行く。 ようやく二人で再会したレンとナナ。ヤス・ノブ・シンはそれぞれ複雑な思いでマージャンをしていた。

* 第14話 *
お互いの気持ちを確かめ合ったレンとナナ。そんな二人を心から喜ぶ奈々。「あんたの庭最近豊作じゃん」という淳子の言葉にヤスを意識する。レンが二人の家に来てみんなで麻雀大会をすることになり、ウキウキの奈々。仕事から帰った奈々を迎えたのは なんとタクミだった!!奈々とタクミ、初対面。ナナのご褒美に感動して涙を流すのだった。

* 第15話 *
奈々が大ファンであるトラネスのレンのみならず、タクミまでもが我が家に来ると言うすごい展開。ヤス・タクミ再会。ヤスとレイラが付き合っていたことが発覚。 ノブと奈々がビールを買いに出る。そこで奈々はノブを意識。翌日、ついに出版社をクビになる。 落ち込む奈々の元へ、タクミから電話が入り、表参道で再会する。

* 第16話 *
タクミの車で突然のキス。戸惑う奈々だったが、そのままホテルのスイートルームへ。ナナには言えないと後ろめたさも感じながら、こんなチャンス二度とない、と、ベッドへ倒れこむ。。。 ヤスが上京してバンド活動していることを知るレイラ、複雑な心境。ナナはレイラを同じボーカリストとしてライバル意識を燃やす。久々に章司登場。何やら幸子と暮らすらしい。ブラスト、2度目のライブ。


感想
この巻で章司は完全に「脇キャラ」になったやん!!もう、びっくりよ(汗)。出てきたのは最後の2コマくらいやし・・・。

そして、今までずっとポスターやCDジャケット、雑誌などで眺めるだけだった、しかもずっと奈々の視点で描かれてた「トラネス」のメンバーが登場人物となるなんて、これまた予想外。 まあ、ナナとレンが元々恋人同士だったので、レンと同じバンドのメンバー、ってことで自然っちゃあ自然なんだけどねえ。
それにしても、大ファンだったタクミがいきなり家に帰ると出迎えてくれて、でもって自分の手料理を食べるなんて、現実世界ではありえな〜〜い!!でも羨ましい〜〜!! まあ、それだけに奈々の戸惑い&喜びはすごくよくわかる。

そしてタクミに会えただけでもびっくりなのに、翌日何と電話が!!そりゃあ、こんなチャンス二度とないよ!私だったら奈々と同じ事するだろうな。私も実際、某アーティストの大ファンなので、彼女の気持ちはすごくわかります。 一夜限りと割り切ってても、やっぱり傷付くのは怖いんだよね。携帯番号とメールアドレスを残してくれたのはほんとに嬉しいことですよ!! そうなるとこれまたかすかに期待もしてしまうんだよね〜・・・いやあ〜〜わかるわ〜・・・(泣)

ナナとレンが元サヤに戻ったのは嬉しいなあ。「会いたかった」ってレン、「来るんじゃなかった」ってナナ、う〜ん、良いわあ〜♪ ホテルのバスルームでくつろぐ二人もいいね。ナナはまさか、自分から電話するなんてこれまた予想外。レンの驚きぶりも納得。再会してからも結構すんなりと収まったのでよかったわ。 お互い、また意地張り合うのかとひやひやしたもん。
しかし、二人が再会するまでの間、ナナとレンの両方から同じセリフを聞くヤスの気持ちも切ない。ヤスはやっぱり密かにナナを想ってたんだよな。 でも、それは叶わぬ想いとして封じこめることにしたんだろう。

この5巻はとにかく、ナナ&レンの再会、そして奈々&タクミのご対面に尽きると思います。
そしてここでワタクシ、タクミにマジ惚れしてしまうのである・・・(照)


「勝手に」 奈々の心理分析
ここではかなり揺れ動いてるのがわかりますね。章司を失い、ナナとレンに刺激され、「私も彼氏が欲しい!!」「運命的な恋がしたい」と思うが、さて、出会いは・・・と考えた時に自分の周りにいる男性のことを考える。 淳子のセリフじゃないけど、ほんっとに奈々の周りにはいいオトコがたくさんいるわけよ。ま、今現在の「NANA」全体を通して、「いやなヤツ」ってのが 存在しないところもある意味すごいんだけど。

ヤスを意識するけど、優しい言葉をかけられて、「裏切られた時が辛いから、嫌なのに」と思い、レイラが元カノと知り、急に遠く感じる。 優しくされたかったから「章司に捨てられた」という言い方をしたのに、ここは複雑だねえ・・・?ムムム

ノブとビールを買いに出かけ、かなり話が合うと感じ、「彼氏だったら毎日楽しいだろうな」と思う。。。 ヤスが無理っぽいからってノブ?確かに気が多いぞ奈々!自覚してるから許すけど(笑)。 誰でもいいってわけじゃない、確かにいいオトコが多いんだよね。それってすごく贅沢というか、幸せというか、恵まれてるというか、だよなあ。

けどそれは、ほんとはみんな違う世界の人たち、ナナと同居してるから仲良くしてくれるだけ、と思ってる奈々にとって、「ずっとそこにいたい、私もみんなの仲間にして欲しい」という思いがあったと思う。 そしてたったひとつの「これ」ってものが見つからない奈々。ナナみたいに歌で成功する夢もない、レンのような運命の恋人もいない。

そんな時にずっとファンだったタクミと出会い。性懲りもなく恋をすることでしか自分を満たせない。相手はタクミ。ナナたちと同じ世界にいれる。望んでいた「運命的な恋」ができるかも?!。
タクミの車の運転席に座っている自分、これは夢だ、現実ではない、 その気持ちもすっごいわかる。 そう、この一夜はあくまでも奈々にとって「夢」で終わるものと覚悟していた。大丈夫、本気にはならない、と。 内心、怖いと思いながら。本気でタクミを愛したいけど、愛して欲しいなんてとても言えない。相手が相手だけに。。。
なのに、「また会いにくるから」とか、携帯番号やメールアドレスを残され、かすかな期待を抱く。
愛したい・・・でも怖い。もしかしたら愛されるかな?いや、そんなことないだろう。。。 揺れ動く気持ちはすっごくわかる。そして誰にも言えない、それもすごいわかる。

二度と恋なんかしたくないと思っていた奈々。だけどどんなに傷付いても苦しくても、もう一度夢を見よう、誰かを心底愛してみたい、ってナナがレンの元へ行った時に思ってた。 その相手がタクミなんだろうか。けどあまりにも世界の違う相手に戸惑っているといったところかな。 ずっと手が届かなかった、見つめるだけの存在だったからねえ。それだけに、現実とのギャップ、ふんぎりがつかない、不安だらけの状態なんでしょう。


「勝手に」 ナナの心理
この頃の奈々よりはナナの方がまだわかりやすいね。駅のホームで中途半端な別れ方をしてから2年、二人の部屋の鍵、そしてレンの首につけた鎖の鍵、 ちゃんと終わらせようと思い、レンに電話をし、部屋まで行ったナナ。でも、レンがまだ自分を想ってくれていたことを知り、その決心も揺らぐ、という感じかな。 それは単純にやっぱりナナもレンが好きだったってことよね。

ヤス・ノブ・シンが話していたように、レンはブラストを抜けた負い目みたいなものがあって、それも邪魔してナナに会わす顔がないとも思っていた。 だからナナが会いに来てくれたことをこれまた単純に喜んだんでしょう。

バンドのことも考え、ナナは「昔のようには一緒に暮らせないけど、でもたまにこうして会いたい」そういう気持ちもすっごいわかる。 トラネスを越えてやる!と思ってるブラストのボーカリストが、当のトラネスのメンバーと一緒に暮らすってのも複雑だしねえ。 そういう夢や目標も一段落ついて、ずっと歳取ったらそんな思いもなくなる。その時、そんな私をあなたは受け入れてくれる??という、ここも恋する乙女の気持ちね〜〜♪

この件では奈々に世話になったと思い、タクミと会わせるプレゼントをした。喜んでもらえてよかったと思うが、翌日まさか二人が一夜を共にしたとは夢にも思わず、そしてなかなかバイトも 決まらない奈々に「早く彼氏ができるといいね」と励ますのだった・・・。


5巻のここがツボ!
「ふざけんなハゲ」 ⇒ ナナがヤスに「ハゲ」という度にヤスの頭がツルッと光る場面が大好き。
あんたは枯れないよレン ⇒ レンに対するナナの熱い想いが伝わってくる。そしてそう言ったナナを見つめるレンの優しい眼差しが好き。
「じゃーおれはひとっ風呂あびてくるか」 ⇒ 奈々とホテルの部屋で食事をした後、スタッと立ちあがり、小脇に小道具を抱えているタクミ。 ほんとにせっかちですね、と奈々に言われて赤面するところも面白い。