NANA COMICS #21
コミックス21巻 2009年3月17日 第1刷発行 |
* 第78話 * 激突したレンの車を追い越し、その場から逃げる三宅と菅原。ノブは寮の部屋で、ギターの爆音(幻聴?)を聴く。倉田、工藤の指示でレンタカーを走らせる途中、レンの車を発見。レイラが地元に帰ったことでダメージを受けてるタクミ、奈々と言い争い中に成田から電話、レンの事故を知る。寮で麻雀中のメンバー、ヤスの元に「レンが死んだんだよ!」とタクミから・・・ 北の町にそれぞれ到着した。まだ何も知らないナナは大阪のホテルで、仕事をキャンセルし、銀平と一緒に。タクミとノブ、病院でレンの遺体と対面。ナオキがようやくレイラと連絡が取れた。ヤスと美里が大阪に到着し、ナナの部屋へ。そしてついに「レンが死んだ」と聞かされる。 * 第79話 * 未来。雪の降る海辺で、奈々、皐、ヤス、美雨でどうやら「お墓参り」の模様。その後、ノブの旅館へ。みんなでナナへのバースデーソングを歌う。 現在。ノブの旅館で、ただ時間が過ぎるのを待つだけの面々。大阪のナナは、まだ現実として受け入れられていない様子。みんなでとりあえず、車で向かうことに。奈々と美雨、一緒にお風呂へ。美雨のヤスへの思いを聞く。タクミはレイラの元へ。3人になってしまったトラネスメンバーの部屋・・・ * 第80話 * 葬儀場に運ばれたレン。周りには多数の報道陣が。そこへ、ついにナナを乗せた車が到着、必死でナナを守ろうとする奈々。自力で立てないナナをヤスが抱きかかえ、連れて行く。棺を前に、ただぼんやりするだけのナナ。木下から、レンのナナへのバースデープレゼントが手渡されるが、受け取れない。煙をあげる煙突を見上げ、ヤスとタクミが話す。「もう終わったんだよ おまえもしばらく休め」と・・・ |
感想 |
レンの死亡が確実なものとなった、ほんとにほんとに悲しみの21巻です・・・この1巻丸ごと、「レン」です。 本編の連載として考えると、やっぱり遅いし、早く進めてくれ、ってのもあると思うけど、私はどう考えてもこの流れは必要だったと思うなあ。 身近な人間が一瞬で命を落としたという現実。そしてこれまでの幸せや楽しさが一瞬にして失われるということ。 直前まで話をしていた奈々の「引き止めていれば」という後悔。 「うちのギタリストが戦死したよ」という表現でしか切り出せなかったタクミの気持ち。 それを聞いたヤスが思い浮かべた少年時代のレン。 大阪にいるナナを心配するみんなの思い。 自分を責める奈々を気遣い、レンは嬉しかっただろう、と励ますノブ。 「レンが死んだ」という事実をナナに伝えたヤスの気持ち。 ナナに付き添う奈々の思い。 ごめんなさい・・・というレイラ。 忙しく葬儀を仕切るタクミの胸の内。 。。。。。ほんとに丁寧に描いてくれたと思うわ。こうあるべきだとさえ思えるよ。十分満足。(っていうのもおかしいけど・汗) ただ、残念でしょうがないのがやっぱり最期のレンに会わせてもらえなかったこと。何で「顔がぐちゃぐちゃ」という設定が必要だったのか、そこがまだかなり疑問。「実感がわかない」ことが目的なのかな??それとも「手だけがキレイ」ってのに何かあるのかな??うーーん、そこはわからん。 そうそう、コミック化にあたり、一番気になっていたところ!! 78話Aがなくなって、ひとつの78話としてまとまってたね!!やっぱり、本来一話であるはずだったのが、何のどんな事情か知らんが、それが2回に分けられたってことだ。クッキーの時の78話の終わりと、78話Aの始まりは、あまりにも今までと違いすぎやし。こうして考えるとすごく納得ができた。まあ、モノローグがないので、その点では確かに今までと違うけども。 それで、すっごい気になる点が。 ねえ レン レンがいないと 必死に守ってきたバランスが全部崩れそうだよ 昨日までの設計図はもう使えない あたし達はこの先何を描けばいいの? このモノローグ。 「必死に守ってきたバランス」って何???そんなもん、あったっけか?!?! 「昨日までの設計図」って??? クッキーで読んだ時、すんごい「?????」って思った。 でもそこはひとまずおいといて、じっくり考えてから書こうかなと思った。かと言って、それからずっと考えてたわけでは決してなく、今考えたんだけどね(笑)。 んで思ったのは、今まで一緒にいた人間が突然いなくなるんやから、状況も変わって当たり前やん?今までと同じなわけないやん。ましてやレンは人気バンドのトラネスのギタリストという、いわゆる「芸能人」だったんだから、それが会社や世間に及ぼす影響も多大なものでしょう。それがたぶん「昨日までの設計図」。 今まで頑張って日々暮らしてきた、夢や目標を持って生きてきた、そしてみんな幸せな人生を送ろうと一生懸命だった、 そこにはちゃんとレンもいるはずだった。なのにそれが全部崩れてしまう。(必死に守ってきたバランスってことじゃない?) 周りの誰もが、レンを失ったことは大きな悲しみであり、痛みであり、それを抱えて生きていかなくてはならない。その上で、また新たな夢や目標は生まれるのか?だとしたら一体どんな??? ってことかなーーーーって感じで落ち着きましたのさ。。。あくまで私の解釈だけども。 残された人々の、まさに「課題」ってやつかも。 とりあえず(?)今のところ「これはどうなるの?」って気になるのが ・ノブが聞いたギターの爆音。 ・レンからのナナへのバースデープレゼント。 ・レンを見捨てたにっくき三宅と菅原の行く末。 以上、ぜひこの先明らかにして欲しいと願う。 レンの薬の件も気になるところだけど、ヤスが言ってた、「本人が死んだんだ それ以上裁きようがねえからだよ」 で片付けられた気がする・・・納得はいかないんだけど。。。 あと、どっかでも書いたと思うけど、レンが死んでしまった今はほんとにただ悲しいだけ、悲しみしか残らないって感じだけど、絶対のぜーーーったいに「悲しいまま終わらない」と私は思ってる。人一人死んで、やっぱりハッピーエンドってのはないだろうけど、それでも残された後の人々がどうやってその悲しみを乗り越え、そして新たな夢や目標を持って幸せに生きていこうとするのか、きっとそれが矢沢さんが一番描きたい事、見せたいものなのかな、って思うから、それをしっかり見て、そこからたくさんの何かを見つけて、自分のためになる何かを掴みたい、そう思ってる。 裏表紙の「作者のことば」を読んで、今まで以上にそう思った。 矢沢さんの中で、登場人物すべてが実際に生きてるんだな、って。レンを死なせたという意図を、今後しっかり読み取って行きたいと思う。 それから、その中にあった、この部分。 子供の頃からヤスが傍にいる皐の事は、なんだか無性に羨ましいです うわーーーーー!!ってすっごく思った。ほんとにそうだなあって私も心底共感した。 そういう視点で見る、さすが作者!と変なところで(?)感心しちゃったよ。 |
なかがき |
さて。 今回、一番時間がかかったのがこれ。やめとこう、と思ったのに、書かずにはいられなかった。 けどさすがにすぐには書けなかった。だいぶてこずった。そして書いてみたら、ものすげーーーーーーーーー長い・・・ なんせ、1巻から20巻までのレンをまとめたから!! 要所要所では何かとわかりづらいレン、こうすれば何かわかるかな、と思った。 結果、わかったのかどうなのは・・・・・(汗) まあ、「おさらい」ということにでもしとこうかな。 けど、自分でも今までわからなかったところが、今回じっくり考えたおかげでわかった部分もあった。 超ウルトラスーパーロングで激長な長文(日本語おかしい)です。過去最長の自信アリ・・・ 読んでもらえるなら、どうか、覚悟と気合いを入れて取り掛かってください(まじで)。 「めっちゃ長い!」という苦情は受け付けません(笑)。しかし、どっぷりレンに浸れることは保証します。(ほんまに?!) それでは、レンの世界へどーじょーー!!!↓↓↓ |
「最後に」(泣) レンの心理分析 |
レンは死んでしまった。。。 もうこれで、レンの気持ち、考え、心の中はこの先変わらない。これを最後に、レンの心理を1巻から追って考えてみた。 この「NANA」自体が、2人のNANAの物語なだけに、レン視点で語られることがあんまりなかったので、そこがやはり難しいところだったし、掴みづらかったところでもある。レンが自分の口から自分の思いを語る場面は、意外にも少なかったことに気付いた。 物語の始まり、ナナとの別れ。 1巻-大崎ナナ- おまえはおまえの好きに生きりゃいいさ とても突き放したようにも感じられるこのセリフ。 しかしこの真意は、、、 6巻-18話- 絶対ムリなのはわかってんだけど でも時々さ ナナがおれのもんだったらいいのにって どーしようもなく思うときがあって そしたら皮ジャンのポケットにでも入れて東京まで連れてくのに こういうことだった。 私は今の今まで、ここをしっかり考えてなかった。もちろん、ちゃんと読んではいたし、「ああ、そうだったのか」とも思ったんだけど、肝心なところに気付いてなかった。なんてこったい。。。(泣) レンは、ナナを自分のものだとは思ってない なんでこんな大事なことを見逃していたのだろう・・・「人はモノじゃない」って、そういうことを言ってるんじゃなくて。 相手は意思を持った、一人の人間だってことを、イヤというほどわかってる。だから、自分の思うようにはできない、ってことを。そして、自分よりも相手の意思をとても尊重している。 これ、なかなかできることじゃないと思うんだよね。 何だかんだ言っても人間って、恋人なり夫婦なり、「自分のもの」って思いがちやん。っていうか、そうしたがるやん。頭ではわかってても、ついついそうしてしまうやん。だから束縛する、干渉する、詮索する。そして衝突する。中にはそれを自ら望む人(私はあなたのものよ♪って)もいるから、そこでまたすれ違ったりもする。 レン、その歳にしてその考え、大人すぎるわ!!!!!ってか、この物語の男性陣はそういう人が多いよな。。。 私はこういうのが理想なので、レンの気持ちは何だかよくわかる気がします。 ほんとはヤスに言われた通り、「おれについて来い」って言いたかったはず。だって、「皮ジャンのポケットに入れて東京まで連れて行く」って思ってるんやもん。 けどそこは 1巻-大崎ナナ- 立派に自立した一人前の女だろ 一緒に行きたきゃ行くだろうよ それはナナが決めることだ レンもきっとそう思ってるよ ヤスとノブの会話、まさにそこだったわけだ。 そしてナナは来なかった・・・。 5巻13話でレンとナナは再会するんだけど、これ、レンは絶対自分からは電話しなかっただろうな。 もう会う気がねえんなら ナナはおれがもらう ヤスに電話でそう言われてもなお、そうなったらそれはそれでしょうがないって思ってた気がする。ナナがヤスを選ぶなら・・・ って?!たとえナナの意志を尊重したとはいえ、自分から離れて東京へ出た身、今さらどうしようもない、と・・・ そこで思いもかけないナナからの電話。ほんとにすごくすごく嬉しくて、気持ちが抑えきれなかった。 たとえ「あたしはあんたとやり直す気はねえんだ!」と言われようと、ひたすら「会いたかった」とナナを抱きしめる・・・ しかし、10巻36話。ヤスがナナをかばってサーチの記者を殴り、これまた騒ぎになってると聞いたレン。 やべえな おれはナナの為にそこまで捨て身にはもうなれねえ なんでだろうな・・・好きな気持ちは今も変わんねえのに おれいつからこんな冷たい人間になったんだ・・・・ 簡単に言うと、ヤスには当時失うものがなかった。=ナナを守ることができる でもレンにはトラネスという、守るべきものがあった。=ナナか?トラネスか?! ってことだろうね。好きな気持ち、もちろん変わってはいない。冷たい人間なわけでもない。 その時頭に浮かんだナナの言葉、 「ねえレン あたしが死んだら一緒に死んでくれる?」 この時と今とは、状況が違ってる、それを一瞬でうまく表現してると思った。 そこでレイラのセリフ それは冷たいのとは違うよレン 人は生きて行く程 重たい荷物が増えて行くものだもん 思うように動けなくなって行くんだよ だからそれを一緒に抱えて行ける相手が必要になっていくんだよ レンは彼女と そんな風にはなれないの? そういうことなんだよな〜。 こん時はほんまに的を得た、いい発言してるのにな、レイラ!!それがいまやナゼに・・・・(汗) ほんとに同一人物?! ・・・やめとこ。 「本城蓮 熱愛発覚報道」から約1ヶ月の間、レンとナナは会えない状態だった。レンはロンドン、ナナは強化合宿やレコーディング。その間、ナナの側にはヤスがいる・・・レンにとっては、ナナに会えないこともツライんだけど、それ以上にそのことが引っかかってたのかもしれないな。。。だから薬に逃げて、会えない寂しさも、ヤスへの不安も、それで紛らわせてたのかも。 そして11巻39話、歌番組の収録の合間、ヤスとの会話。 「心配しなくてもおれはおまえからナナを奪う気はねえよ」 「そーだろうね ヤスは昔からなんでもおれに譲ってくれるもん 人の事見下してむかつくよ」 もう会う気がねえんなら ナナはおれがもらう この一言も引っかかってたんじゃないかな。 たとえヤスがどれだけナナを想ってたとしても、何だかんだ言っても自分から奪いはしない。レンはそれをわかってた。でも逆にそれがおもしろくなかった。ヤスのこと、「上から目線」で見られてるって感じで思ってたのかもね。それゆえに「人の事見下して」って言葉が出たんだろうな。ヤスが自分の気持ちを押し殺してまで、おれのためを思って譲ってくれる。とてもありがたいことではあるんだけど、裏を返せば言葉は悪いけど、侮辱されてるような気持ちにもなってしまう。そういう、自分自身でも矛盾した思いもあったんだと思うな。 「おまえはナナがいねえと結局こうなるんだ 不安定で見てらんねえ ナナもおんなじなんだよ もう無理するなレン おまえはおれやタクミとは違うんだ 理屈で物を考えずに 自分の思うようにやれよ そんなんじゃどの道長くは続かねえぞ」 もしかして、これでレンはナナにプロポーズしたのかなあ。違うかなあ。 タイミングはちょうどこの直後なんだけど、だからってそう考えるのはあまりにも単純か・・・うーーーん。。。 無理するな、自分の思うようにやれよ = 自分の気持ちに素直に、思ったまま行動しろ 約1ヶ月会えない間に、ナナへの気持ちがピークにまで達してたのかも。 トラネスのこととかいろいろあるけど、とにかくもう離れたくない、ずっと一緒にいたい、その気持ちの方がずっとずっと強かったのかも。だって、この時は 死ぬときゃ道連れだぞ って言ってるもんね。そしてそれがさらにエスカレートしちゃって 13巻-46話- おれおまえの事そのうちほんとに殺すかも どーしよう なんで「殺す」になっちゃうわけ??と思ったんだけど、この発言を説明したかのようなセリフがこちら 14巻-51話- おれは結婚の意味もよく分かんねえからな 何の為の制度なの? それしか方法が思いつかなかったからー? ハゲ退治ー ナナの心の中からヤスを追い出す方法 ガキっぽいよね 紙切れ一枚の契約に何の効力があるんだ そんなもんで繋ごうとする程よけー虚しくなる おれほんとはきっとナナに歌う事もやめて欲しいんだよ それでずっとおれの横でおれの事だけ考えてりゃいーのにとか思ってんだよ おれ最近本気でナナのこと殺したくなるんだ そしたら永遠にナナがおれだけのものになる気がして 真面目にヤバイよ・・・誰かおれを殺せよ・・・・ この辺からものすごいレンの切ない心情がうかがえるようになってきた。 ナナを自分のものと思ってないレンが、自分のものにしたくてどーしようもなくなってる。 ナナの心の中からヤスを追い出したい。 歌うこともやめて、ずっとおれの事だけ考えていて欲しい。 でも、それでもやっぱりそんなことは無理だと、基本的に頭ではわかってる。なのに、いや、だからこそ気持ちがついてこない。だから殺したくなる。すごい極端な考えかもしれないけど、そういう愛もあるんだな、って思うわ。ちょっと恐い気もするけど、そこまで人を愛せるってすごいことだと思う。けど、それは独りよがりってこと、この後から段々レンもわかってきてるんだよな。相手にも気持ちがある。「殺したい」ってすごく自分勝手な発想でもあるもんね。 レンとレイラの写真をサーチから送られたナナ、どうしようもなく自分の中で溜め込んでいた思いが吐き出された。 15巻-56話- あたし以外の女に曲なんか書かないで! ナナの中で、決して流せない思い、吹っ切れない気持ち、それがまだまだ終わってはいなかったということを、レンはここで初めて気付かされたのかも。その辺りが描かれてないので実際はわからんけど、この後からナナの気持ちを大事にしたいって思ってるのがよくわかる。 15巻-57話- おれは正直入籍なんかどっちでもいーんだ おまえといられるならそれでいーんだよ でもナナは・・・おれとはそもそもよりを戻すつもりもなかったし おれが強引に戻しても 今は意地があるから一緒には暮らせないって言ってたよな なのにおれはおまえの気持ちも考えずに つーかあえて考えないようにして 自分の欲求だけでおまえの意志をねじ伏せて来たんだ でもこれからはちゃんと考えるよ おれは今さらトラネスを辞めることはできねえし 辞めるつもりもない その上でおまえはどうしたいのか もう一度正直に言ってくれ 「本気でナナのこと殺したくなる」って言ってた頃より、だいぶ穏やかになってる感じ。落ち着いた、っていうのかな。自分の想いだけでいっぱいいっぱいだったその時と違って、すごくナナの気持ちを考えてる。そしてとても素直に自分の気持ち(トラネスへの思いも含め)も伝えてる。「一緒に話し合おう」という姿勢がうかがえる。 16巻-58話- レイラのことはもーいいの? ナナの事じゃねぇよ ナナはおれが何とかする おまえには死んでも渡さねえ ヤスに美雨という彼女ができたと知ったレン。自分の気持ち次第ではヤスにナナを持ってかれる、とでも思ってたのかな。 前には「何でもおれに譲ってくれる」って言ってたのが、「死んでも渡さねえ」って変化してる。たとえおまえがどれだけナナを想っていようと関係ねえ、何がなんでも渡さねえって、気持ちが完全に固まってる。それを改めてヤスに伝えたかったのか。 考えてみりゃ、彼女ができたのに、そういうこと言うってのもおかしな話だもんな。 同じく16巻58話、 おまえはおれがトラネスを抜けてロンドンに行かないっつったらそれで満足なの? (中略) そーじゃねぇよな おれもおまえが家で味噌汁作って待っててくれりゃそれで満足なわけじゃねえよ おまえがそれを自ら望んで幸せでなきゃ意味がねぇんだ 無理強いしても虚しいだけだよ これは前の15巻57話、 おれは今さらトラネスを辞めることはできねえし 辞めるつもりもない その上でおまえはどうしたいのか もう一度正直に言ってくれ これの続きだよね。そして、この後この部分がすごく重要になってると私は考えた。 結局ナナはこの後に自分の思いを伝えてはいない。まあ、「しばらく考えろ」とレンも言ってたわけだけど。でも、ロンドンに行ってしまうという朝、そしてナナの気持ち、きっと言葉で聞かなくてもレンはわかってたんだろう。 レンの気持ちとナナの気持ちは切り離すわけにはいかないんだけど、両方考えるとさすがに頭がぐちゃぐちゃになるので、 なるべくナナの気持ちは考えないようにしてきたけど、ここで大きく影響してくる。 何だかんだ言っても、レンはトラネスをとても大事にしている。それがどうしてもナナにはおもしろくない。正直にレンは伝えても、ナナの気持ちが変わるわけではない。 「でもあたしは ずっと歌っていたいし子供も欲しくないし レンの望む事は自らは望めないよ」 分かってるよ それはお互い様だ おれが上京したのはプロのギタリストになれるチャンスだと思ったからだけど 今はトラネスでなきゃと思ってるし メンバーは誇りなんだ 結局変わらないナナの気持ち。そして自分もやっぱり変えられないトラネスへの気持ち。そこはもうどうしようもできないこと。けどだからって別れるわけじゃない。それはレンにとって理由にはならなかった。 だけどやはり大きな問題だと思う。「お互い様だ」とわかってはいても。。。 ここで再度、レイラの唯一の名言(アラ失礼!)が私の中で出てくるんだよね。 人は生きて行く程 重たい荷物が増えて行くものだもん 思うように動けなくなって行くんだよ だからそれを一緒に抱えて行ける相手が必要になっていくんだよ レンは彼女と そんな風にはなれないの? これだよこれ!!! ナナは 『レンの大事なものを大事に思ってあげられない』 『レンの望むことは自らは望めない』 と嘆いている。レンもそれをわかっている。そして自分も同様、だから「お互い様」と・・・ 結局、レイラの言う、「そんな風にはなれないの?」が無理だった、ってことになるんじゃないかな。 お互い、一緒に抱えて行ける相手にはなれなかった・・・???あまり思いたくはない現実だけど、そんな気がする。 だからこそ出たセリフがこれじゃないかな。 17巻-65話- おれはナナがおれの思い通りにならなくても たとえ他の男と結ばれても ずっと変わらずに大事に思えるくらい 優しい人間になりてぇよ・・・ 殺したいと思うほど、自分のものにしたかった。でも相手にも気持ちがある、それをちゃんと考えたいと思った。でもその相手の気持ちは、自分の思ったものとは違う方向を向いている。なかなか自分の理想とする形にはならない。それでもずっと変わらずに大事に思える人間になりたい。。。 「そうなりたい」と思っている=今はそうではないということだよね。ってことは、やっぱりレンも不満なんだよ。一緒に抱えて行ける相手でありたい、って思ってるはず。どうしようもない、と頭ではわかってても。・・・ずっと、それの繰り返しだな。 そんな時に起きたシンの不祥事。あんなやつメンバーじゃねえと言うナナに対し、 18巻-68話- 調子がいい時は仲間で 都合が悪くなったら他人かよ そんなやつの後ろでベース弾きたくねえ レンはすごくメンバーを大事にしてるから、いくらナナが切羽詰ってたとはいえ、そういう考えは許せなかったのかね。にしても、ここはもうちょっと他に言い方があるんじゃないかなと思うんだけど。ただでさえ、自分の中で悶々としてた時だったから、つい言ってしまったってのもあるのかもしれないけどさ。けどレンのすごいところは、すぐに自分で反省するところ。 18巻-69話- つーかむかついてるだろうねーー 勝手にブラスト抜けたおれにあんな偉そうな事言われたかねえだろ それでなくても恨まれてんのに 「勝手にブラスト抜けたおれ」、、、この思いも、レンの中からはきっと消えないんだろうな。ナナが、レンがトラネスにいることがおもしろくないのと同じように。 「それでなくでも恨まれてんのに」はやはり、 「あたし以外の女に曲なんか書かないで!」 ここんとこだろうなあ。やはりこの一言は、2人にとってかなり大きい。 もうあいつの機嫌取るのは疲れた・・・ 機嫌取るって、例えば一般的には愛想良く振舞って見せたり、相手が喜ぶことを必死にやったり、ってそういう風に思いつくけど、レンにそんな素振りはなかった。で、考えたことは、レンにとってこの「機嫌取る」って部分は、きっとナナのトラネスに対する複雑な思いに、申し訳ないとか、負い目とか、そういった気持ちになるってことを意味するのかな、と思った。でも自分の思いも変えられない、そういう葛藤に疲れた、ってことじゃないかな、って。 ナナの気持ちをちゃんと考えたい、って言った。それからずっと考えるあまり、いろんな壁にぶち当たり、考えすぎて疲れてしまった、そういうことかな、って。。。 19巻-71話- どーしても会う気になれねえんだ 別にこれで終わりなわけじゃねえよ 終わらせたくないから今は会えねえんだ なんつーかほら 時間と距離を置いた方がいい時ってあるだろ? 違う見方ができるっつーか そのうち必ず迎えに行くから それまでナナのことよろしくな 奈々との電話での会話。 疲れてしまった自分、だからしばらく離れて考えたい、単純にそういうことだろうね。時間と距離を置いた方が、違う見方ができる。これもほんとに名言やと思うわ。 しかし、19巻72話。トイレに薬を流すレン。頭の中に響くセリフ。 ヤス 「ナナの孤独を救えるのはおまえだけだ 頼むからしっかりしてくれ」 奈々 「1日も早く迎えに行ってあげてね」 レイラ 「大事なもの全部捨てて上京してトラネスに賭けたの がんばろうね」 色んなことに疲れてしまってる今、この言葉はレンにとってとてもプレッシャーになっていた。自分自身の気持ちの整理もついてないのに。それでも、そんな状態でもレンはどうにかしようと思ったからこそ、薬に逃げるのではなく、ちゃんと向き合おうとして薬を流したんだと思うんだけど、結局禁断症状に負けて、成田のところへ行っちゃう。 いや全然無理だけど 万が一ナナが自分から帰ってきたら 一人じゃ寂しがるから・・・ 自分の弱さを思い知ってしまったのか、「そのうち必ず迎えに行く」と言ってたけど、なかなかそれも難しくて、結局「待つ」ことにしたんだね。ナナが自分から帰ってきたら、その時はせめてそこにいてあげたい、と。。。 けど、それだけではなかった。 20巻-75話- でもおれはもう自分の気持ちを強引に押し付けたくねえんだよ この辺のこと、そしてレイラのこと、などなどはクッキー75話のところで語ってるのと、今と考えは変わらないので省きます。 20巻-77話- いや自分で話すよ 蹴り入れてもらって更生するから あいつの宿泊先メールに入れといて でもその前に 歌姫を城に連れ戻さねえと おれはやっぱりトラネスを守りてえんだ・・・ 薬のこと、ナナに自分で話し、そしてきっぱり更生する、と決めた。いろんな意味で、これから、って思ったと思う。やっとナナに会いに行こうと思えた。 でも・・・・・ やっぱり納得いかなかった、「先にレイラを迎えに行く」ということが・・・・ けどね、トラネスはやっぱりレンにとってとても大事なもの。それをほっといてナナのところに行くってのはやっぱり気になってしょうがなかったのかもね。どっちも比べようがないくらい大事だから、だからこそ、トラネスの方を「先に片付けたかった」んだと思えば、まだわかるかな、って思えるようになったかな。レイラに会って、話して、そして東京に連れて戻ってくる、レンにとってはそんなに難しいことだと思ってなかった。だからそっちを先に、って思った。それから、ナナとはゆっくり時間をかけて、また新たな気持ちで一緒に生きていこうとしていたんだと思う。 ・・・・ああ、そう考えたらまた涙が出そう(泣)・・・ さて、レンがそれだけ大事にしていたトラネスへの思い、これはこれで、また別にまとめてみました。 でもわからん部分が多い・・・(汗) 8巻-27話- おれはギターさえ弾けりゃなんでもいーのよ タクミのやり方が不満なら辞めりゃあいい 一緒に戦う気がねえ兵隊はいらねえんだよ 愚痴る木下に言ったセリフ。レンはタクミのやり方に一切不満がなかったのかな。それとも、不満があったとしても、それは自分の中で収めてたのかな。そこんとこ、よくわからんけど。で、そんなタクミに言われたセリフがこれなんだけど。 9巻-30話- おまえは自分の成功のために女も仲間も捨てて魂さえ売った男だろ!買ったのはおれだけどっ おまえは根っからのパンクスだったから 狭い小屋でやりたい放題めちゃくちゃやってた頃が一番かっこよかったよ まあ今も別にフツーにかっこいいけどね 正統派ヒーロー風味で これ、どんな思いで聞いてたのかな。頭の中には木下の、 おれは本城蓮の魂の叫びが聴きたいんスよ! が流れてて、びみょーーな表情してたけどさ。その辺、まったく描写がないので、わからんねんなあぁ〜〜・・・・ ナナへの想いもわかりづらいのに、ましてや音楽に対する考えなんて、ほんまにわからんわ〜・・・!! 10巻-34話- おれたちゃ遊びで音楽やってんじゃねえぞ トラネスは今やタクミだけの城じゃねえ プロダクションやレコード会社や色んな企業を巻き込んでの一大プロジェクトだろ おれ一人好き勝手するわけにゃいかねえんだよ バンドってのはさ 言ってみりゃ運命共同体だ おれが今守らなきゃならねえのは 昔捨てて来た仲間じゃねえんだよ 「本城蓮 熱愛発覚」のスクープで、イギリスに行くことになった時。またしても木下との会話。 「捨てた」つもりはなくても、結局はそういうことになってしまった。否定はできない、といったところか。そして、この時点ではナナをフォローする必要はないと考えていた。だからこそ、今はトラネスを守ることの方が大事、と考え、ナナには連絡もせずにイギリスへ渡った。 14巻-53話- ねえレン あたしとレンて同志だよね あたしも大事なもの全部捨てて上京してトラネスに賭けたの このレイラのセリフも、どう受け止めたんだろうか。その通りだと思ったのか、そうじゃない、と思ったのか。 レンが上京した理由、それって おれが上京したのはプロのギタリストになれるチャンスだと思ったからだけど 15巻-57話- レンの口からはこれだけしか語られてない。もっと色々あるとは思うんだけど。・・・ないのかな・・・?? けど、レイラの言う、「トラネスに賭けた」わけではなかったかもね。 今はトラネスでなきゃと思ってるし メンバーは誇りなんだ 15巻-57話- 「今は」トラネスでなきゃと思ってる=当時はそうではなかった ってことになるのでは??別に言葉のあげあし取ってるわけじゃないんだけど(汗)。 レンにとっては、トラネスであったことは結果的に運がよかったってことになるのかな。 20巻-74話- おまえはほんとにすげえよ なんつーか その仕事に対する捨て身の覚悟がね タクミとの会話。そしてその後、 おれトラネス抜けようと思うんだけど ずいぶん突然で誰もがびっくりしたよな〜・・・一体何があったんだ?!ってな。 20巻-75話- おまえが捨て身で守ってる城を もう自分のせいで危険に晒したくねえ 過去に、レイラとの写真を撮られた時、タクミが結局記事になるのを食い止めた。そして薬から抜けられなくなってる自分のせいで、「また」バンドが危機になることは決してしたくない、と思った。タクミがどれだけバンドを守ろうとしているか、すごくよくわかったんだと思う。これ以上、迷惑はかけられない。だとしたら、自分がバンドから抜けるしかない、そう思ったのか。 そこまでバンドを大事に考えてんなら やめるより更生する努力をしてくれよ タクミの言うことももっともだ。しかし。 でももう自力で抜く自信ねえし・・・でもナナが・・・ 自力で抜く自信がない。だったらどうするつもりだったんだろう。ナナに自分で話す、と言ったのはこの後、77話なんだけど、もしかしたらすでに話す覚悟をしていたのかな。そして、「でもナナが・・・」ってのは、この時またもや頭に流れた あたし以外の女に曲なんか書かないで このセリフ。 トラネスを抜けようと思った理由、第一は薬なんだろうけど、それと同時に「ナナが嫌がってるから」ってのも考えてたのかな って思った。。。だから「ナナが・・・」って言ったのかなと。極端な言い方をすれば、トラネスを辞めた方がナナが喜ぶだろう、と考えた、ってことかな、って。 そして。。。 ナナに会いてえ・・・・・ もーーーー、ほんっとにナナがいないとダメなんだなーーー・・・!!! それでもやっぱり 20巻-75話- でもおれはもう自分の気持ちを強引に押し付けたくねえんだよ という姿勢は変わらない。そんな言葉を聞いた木下がナナのいる大阪まで車を走らせる。しかし。 20巻-76話- おれはこれ以上周りをがっかりさせたくねえんだよ!!戻れ!! これは 10巻-34話- おれたちゃ遊びで音楽やってんじゃねえぞ トラネスは今やタクミだけの城じゃねえ プロダクションやレコード会社や色んな企業を巻き込んでの一大プロジェクトだろ おれ一人好き勝手するわけにゃいかねえんだよ 根本的に変わらないレンの信念と言っていいかもね。 そして事務所に戻ってみると、「レンを休ませてあげて」とレイラが地元へ。結局、自分のせいでこういうことになってしまった。自分だけならまだしも、レイラがこういう行動にでることは予測できなかったし、止めることができなかった。 タクミが捨て身で守っていること、周りをがっかりさせたくないということ、自分一人好き勝手するわけにはいかないこと、そして今、レイラが地元へ帰ってるということ。自分のせいでこういう状況になってしまってる今、それを置いてナナのところへ行けないのも当然かなと段々思えてきたよ。 おれはやっぱりトラネスを守りてえんだ・・・ そしてレンは帰らぬ人となった。 生きていて欲しかった。そしてナナと幸せに生きて欲しかった。 でもそれは叶わなかった。 レン、ありがとう。これからも変わらず大好きです。 どうか安らかに・・・・ |