NANA COMICS #16
   コミックス16巻 2006年9月20日 第1刷発行
* 第58話 *
突然の未来シーン。場所はロンドン。どこぞのバーで歌うナナ。それを追っている倉田、電話でなぜか「ナナはもう死んだんだ」・・・
タクミと奈々は誕生日のくり上げ祝いでショッピング。いろんなことが重なったナナは苛立っていた。トラネスがロンドンに出発する朝。ナナと奈々、それぞれの別れをする。。。

* 第59話 *
11月30日、奈々の21歳の誕生日。707号室でパーティー。ノブは一人寮に残る。サーチの倉田と三宅、ナナの地元で聞き込み。「源さん」=「都築物産の社長=都築源一郎」と判明。着々と情報を手に入れていた・・・。ナナ、謝恩会に大阪の上原美里が来ることをヤスから聞く。美里は兄にお金を貸してと懇願。兄の彼女の話を聞いた美里は複雑な表情を見せていた。。。

* 第60話 *
12月24日クリスマスイブ。朝、ナナはロンドンのレンに携帯で電話。そして(たぶん)午後から謝恩会。美雨から上原美里が来ると聞いた舞は激しく動揺。そして美雨はヤスに相談。謝恩会のミニライブ開始。奈々のマンションで倉田が待っていた。ナナの母親のことを聞かされた奈々は、つい倉田を呼び止めてしまう。

* 第61話 *
謝恩会は無事終了。奈々は倉田とカフェで話をする。「全力で記事はつぶす」と言う奈々に、「君はただの勘違い女だ」と倉田が言う。奈々は実家に帰る足で、そのまま大阪まで向かった。その後を倉田がつけていた・・・
美里のことを聞いたヤス、舞が心配している「何か」を悟った様子。舞に「打ち明けて」とメールで伝えるのだった。


感想
冒頭の未来シーン、びっくりだったよね!!そしてモノローグはナナ視点に移ってたし!!第58話の扉絵の手前に「ずっと待ってる  ナナが再び立ち上がる日まで」というモノローグ3ページが付け加えられてました。これは15巻、57話ラストの追加されたシーンにかかっているのものと同じ。そして今回の背景は「雪」・・・
61話のラスト2ページ、これも付け足されてるけど、これって時期はクリスマスだよね。ツリーがあるもんね。ってことは、冒頭の雪と、ラストのツリー、これから考えても、同じ時期だと思うんだよ。そして、2001年のクリスマスとも同じ時期。ちょうど、その何年か後に奈々とナナはお互い、別々のところにいて、奈々は「ずっと待ってる ナナが再び立ち上がる日まで」・・・
ナナは「もう一度立ち向かう勇気が欲しい」と思っている・・・

どこか外国のバーで歌ってるナナ。倉田の「国会議事堂の爆破事件が未遂に終わったことを記念したお祭りだとか」って言葉がヒントで場所はロンドン、時期は10月末〜11月頭ってことがわかった。ってことは、ラストの一場面は、ちょうどその後のクリスマスだと思う。

ナナのモノローグ「今年もそろそろあの海に初雪が降る」ってところから、もしかしたら冒頭の雪はロンドンで歌ってるのと同じ時期で、場所は「あの海」かもしれないなあ。
倉田も言ってる「ナナはもう死んだんだ あの海で」っての、いずれも故郷の海だよね〜。。。ナナは近々その海に行くんだろうな。そしてそれ以降の消息が途絶える。遠く離れたロンドンで、故郷の海を思い出してる。故郷というのも、それはナナにとって「生まれ育った場所」ではなく、「レンと出会って結ばれた場所」であり、「自分の原点」となる場所なんだろうな。
ロンドンにいるのも、トラネスがロンドンにレコーディングに行ったのと何か関連してるのだろうか。たぶん、その2ヶ月の間に何かが起きると思うんだけどね〜・・・。

どうでもいいことかもしれないけど、倉田が結婚指輪してたのが気になるわ〜。何らかの意味があるんだろうなあ。そうじゃなかったらわざわざ描かないだろうしなあ。。。もう、ほんと謎だらけだよ〜〜〜(泣)

タクミと奈々のショッピング♪何回読んでも良いわあ〜〜☆「どーぞどーぞいくらでも」なんて、今まで言われたことないわよ!!(泣) そして淳ちゃんとタクミの会話もいいよね。淳子もほんとに奈々を大事にしてくれてる、ってタクミもわかって安心しただろうねえ〜。淳子の目にはタクミがキラキラに見えてるのがかなりウケたよ(笑) とりあえずは今のところ、タクミの誕生日がいつなのか、教えてくれえ〜〜ってとこですな。

ヤスの彼女、美雨とカラオケで初めて会ったレン。レンはレイラのことを心配して、そしてヤスも「応えてやれねぇのに優しくはできねぇよ」と2人とも気遣ってるんだけど、実はレイラはシンと一悶着なんだよね〜〜・・・(泣) まあ、そんなこと知る由もないからしょうがないんだけど。
シンのことを好きなのに変わりはない。だけど会うことはできない。電話できるだけでもいいと思ってるレイラだけど、それはやっぱりシンにとってはツライだけ。「勝手な人だな」と言われてしまう。そりゃそうだよなあ〜。。。恋愛って一人でできるものじゃないからね。自分の思いや考えだけでは成立しないんだよね。レイラは○と思ってても、シンは△だったら、やっぱりそれはそうなんだよ。2人が○と思えるのが一番だけど、それがまた難しかったりする。うーーん、切ない(泣)

奈々の誕生パーティー、淳子と京助も含め、あまり集まらないメンバーでもあって、よかったねえ〜〜♪
奈々がいつ707号室に来たのかわからんけど、それよりも先に、ナナがテーブルセッティングしてるところがかなりトキメキます(笑) ちゃんとイチゴのグラスふたつ並べてるところとか。タクミと買い物したジャケット着て、靴にバッグ、ちゃんと持ってるところもこれまた良い!!

みんながパーティーをしている同じ頃、一人寮でギターを弾くノブ。百合がちゃんとそれを考えて早く帰ってきたのね♪健気〜〜♪ノブは売れる曲を書かなくてはいけないプレッシャーと、そしてウケ狙いで書いちゃったとジレンマを感じている。でも百合は「仕事として求められる曲を書ける方がプロとしてよっぽどかっこいい」。「香坂百合もかっこいいよ。誰がなんと言おうと」 ノブも百合も、お互いを認め合って、うまくやっていって欲しいと思いますね☆

16巻の後半はほとんど「謝恩会」。ここで何かが起きるのか?!とドキドキしてたんだけど、特に何も起こらなかったねえ(汗) まあ、何事もないにこしたことないんだけども。舞が出席しなかったしなあ。これはちょっと意外だった。ま、フツーに考えればそれが大正解なんだけど。アキコとヨーコは結局来なかったし。サキも詩音も心から2人が来るのを待ってたみたいね。サキも詩音も、ほんとにブラストを愛してて、そしてファンのことも大事に思ってるんだな、って改めて思いました。それにしても詩音とヤスの関係が気になる!!さすがの美雨もかなり苛立ってたしね〜・・・(汗) お揃いのタバコに指輪。こりゃただの「昔からの友人」ってわけでもないな、って誰でも思うよなあ。

美里がほんとに純粋にブラスト、そしてナナが好きなんだな、ってすごく伝わってきて、ほんとに可愛かったな(笑) そして美里が来ると聞き、動揺する舞、それを見た美雨がヤスに相談。ヤスはほんと、勘がいいというか、鋭いというか、頭がきれるというか、ほんとかっこいいよね!!舞はヤスに話すのかなあ〜〜気になるわ〜〜!!!

タクミが日本にいない今、奈々は何をするつもりだろうか。それがすんごい心配だよ(泣) 大阪まで行っちゃって、ホテルもなくて、どうするつもりだろ。それこそ、ヤスに相談すればいいのにい〜〜うき〜〜(泣) って感じですわ。
けど、弱気じゃないところが救いかな。満室のホテルを後にした奈々の目はパワーに満ちてたし。とにかく、負けないでってところかしら。


「勝手に」 ナナの心理分析
モノローグがナナ視点になっただけに、とても思いが伝わってきたような気がします。

とてもイライラしてるナナ。原因は自分でもわかってる。いろんなことがありすぎて、何が何だかもうわけがわからない。けどなんとかしなくては、どんどん自分が嫌な人間になってしまう。
カラオケで歌えばきっとスッキリするかも、と思ったが、結局レンも来て、百合や美雨も来た。レンと2人きりじゃなければいいか、と思ってたのに、ヤスと美雨の姿を見てやっぱり苛立ってしまう自分がいた。好きな歌を歌っても、結局苛立ちは治まらない。それはトラネスがロンドンに発つ前日のこと。

そして当日。「レンは結局またあたしを置いて行ってしまう」 ・・・これはナナの孤独感からきてるのか、それともレンをとても愛しているからなのか、どっちにも取れるけど、根本的なものは「他人は自分の思い通りにはならない」と思ってるところかな。そしてそれはナナ自身がとても苦しんでいる部分。そんなナナに
 
   おまえはおれがトラネスを抜けてロンドンに行かないっつたらそれで満足なの?

   ハチ子が子供堕ろしてタクミと別れたらそれで満足なのか?

   ヤスが一生独り身でおまえのそばにいてくれたらそれで満足なのかよ

レンのこの言葉はまさに核心をついてますよね。確かにそれがナナの独りよがりな望み。だけどそうではなく、相手が大事に思ってるものを自分は大事に思ってあげられない、そこが苦しい部分なんだよね。レンの大事なトラネス、奈々の大事な子供とタクミ。ヤスの大事な美雨。それがおもしろくない。特にレンとは、一緒にいるのもつらく感じてしまう。

   終わりだ  今度こそ本当に

そうじゃないよ。そういうことは、お互いが本音で話し合えば何とかなるもんだよ。それでも解り合えなければ終わりかもしれないけど、ナナとレンはちゃんと話してないもん。なのに終わっちゃいけないんだよ。まだまだこれから、って感じだけど、そういう時にロンドンに行っちゃうのが悲しいよなあ(泣) 
「毎週ジャンプ買っといてね」のレンの言葉、それは終わりじゃない、ちゃんと「帰ってくる」ということ。卵焼きも焼いてあげればよかったと思ったナナ、奈々のだし巻き卵は美味しかった、今度教えてもらおう。。。レンのために、それくらいならできる。戻ってきても一緒だなんて言わず、どんどん話していって欲しいわ。レンが去った後のお茶碗とお椀を見つめるナナの目が切なくて切なくて(泣) 

奈々の誕生日。荷物の中から出てきたイチゴのグラスを、奈々よりも先に来て707号室のテーブルにセッティングした。
自分を悩ませる事態は何も変わらないけど、それでも何一つ手離したくないから、せめて自分が変わらなければと思った。昔は何も持っていなかったナナが、今は失うのが怖いと思ってる。それはほんとにいいことだよね。ほんと、大事なものを持ってて、それをわかってる証拠。

パーティーの席で、いろいろ奈々からトラネスの話を聞いたナナ。自分はほんとに何も知らないんだと思った。ロンドンでレコーディングする理由も、アルバムの発売予定も。奈々がいろんなそういうことを知ってるのを意外に思ったと同時に、遠く感じた。でもそれは「話してくれない」のではない、「自分から聞かない」からだと思った。そしてレンとも同じだと思った。レンが日本に戻ったら、自分からいろいろ聞こう。ちゃんと楽しく話せるように自分も頑張らなくては。

そして奈々に用事もなく電話をする。舞に携帯を借りてまで。今までなかったことだよね。そして海外のレンにも電話できる携帯が欲しいと言った。
お揃いのイチゴのグラスじゃなくても、同じ携帯じゃなくても、「物」じゃなくても、ちゃんと「気持ち」で繋がりたい、と思っている。うんうん、いいよいいよ♪ほんと、歩み寄りが大事だよね〜〜うんうん☆

クリスマスが近づいても、東京の街には雪が降らない。それに違和感を感じていても、地元が恋しいわけでもなかった。
ナナはどこにいても「ここは自分の居場所じゃない」と感じていたみたいね。そんなナナは707号室がとても好きだった。
住み心地は悪かったけど、そこには奈々がいたから。。。ナナにとっては初めての女友達、そして自分を受け入れてくれる人間。今までも散々、ナナの友達付き合いの不器用さは出てたけど、このモノローグはほんとに奈々を好きなんだなあって実感したなあ。でもそれと同時に切ないけど(泣)・・・

レンと初めて会ったのも、初めて結ばれたのもクリスマスだった・・・そんなことを思いながら、ロンドンへ電話をしたのでしょうかね。同じ時を過ごせなくても、お互いの思いを話せるような、そんな関係になりたいと思っている。離れてても、離れてる間のことを、楽しく話せたらと思ってる。すごくいい傾向ですよねほんとに。ずっと一緒にいることばかりが大事なんじゃない。離れてても、お互いを想っていられればそれでいい。そのことの方が難しくて、そして大事なことなんだよ。

ブラストの謝恩会も、想定した30人は昔からのファン。だけど、実際に集まったのは7人。後は新しいファンだった。それでもこのまま突き進むしかないんだ。前だけを見て・・・

いい方向に向かったナナの気持ちだけど、それがきっとブチ壊されるようなことが起こるんだろうなあ(泣) ううう、怖いよお〜〜(泣)


16巻のここがツボ!!
◎ 誰がお母様よ! ⇒ そんなマジ切れしないで淳ちゃん(笑) 手書きの「あんなバカ娘産んだ覚えはない!」も
最高です。
◎ タクミとタク妻!マジ? ⇒ 「タク妻」って・・・かなりツボです。
◎ 「天城越え」と「舟唄」 ⇒ そんなに演歌が好きなのねナナ。。。
◎ おっせーよナオキ!つーか来なくていい!ドラマーは向こうで探す! ⇒ ナオキ、聞いてないし(笑)
◎ ありがとう おれは朝海がいれば生きていけるよ ⇒ シッポ振ってるノブが超可愛い♪
◎ ほんとは極妻なのにね ⇒ その後ろで姐さんになってる奈々が最高!
◎ 美里と空広の会話 ⇒ 漫才みたいね。っていうか、関西人はやっぱこんな感じよね(笑)
◎ あたしは毛が生えてるお兄ちゃんが欲しいんだよ ⇒ とっさに言ったセリフだけど、嬉しかっただろうな、って思うとにやけてしまうね。詩音もさすがに「ぷっ」と笑うこの一言はステキですわ♪