NANA COMICS #14
   コミックス14巻 2005年12月20日 第1刷発行
* 第50話 *
ブラスト、ラジオ番組収録のため、大阪のスタジオへ。メンバーの入り待ちをするファンたち。詩音・鞠花・ルイ初登場、上原美里と接触。同じ頃、四海コーポレーションに都築舞が面接に。収録後、ホテルで過ごすメンバー。ナナ、上原美里のファンレターを読む。そしてヤスの部屋へ詩音が・・・。
「今日は帰れない」と奈々にメールを送るタクミ。しかし彼は澄香とベッドの中にいた。。。

* 第51話 *
タクミ・奈々の結婚記念日になるはずだった日、家で二人のんびり過ごす。レイラ、レンの部屋を訪ね、その後ドライブへ。都築舞、美雨と初対面。同じ寮に住むことになる。ブラスト博多に到着。ノブ、百合が行方不明だったことを知り、百合の仕事のことなど、ヤスと話し深く考え込む。
レン・レイラ、故郷の海に到着。レンのナナに対する胸の内を知らされたレイラ。

* 第52話 *
タクミ・レイラ・ヤス・レンの高校時代の回想場面。それはレイラが里帰りしたレンの倉庫で思い出していることだった。 家でくつろぐタクミと奈々。ノブの話をするタクミに反論する奈々、しかし彼の「事実は事実として受け入れる」という言葉に納得。百合の部屋を訪れたノブ、寮に帰ることを説得。美雨、百合を迎えにホテルへ。ヤスの部屋で朝食を取る。

* 第53話 *
ブラスト、ホテルをチェックアウト。レン・レイラ飛行機で東京へ。ジャクソンで奈々、美里と再会。都築舞=美里(偽)と判明。奈々、その後707号室の掃除へ。北海道で仕事を終えたブラスト、その後ヤス・ナナ・銀平は盛岡、シン・ノブ・川野は新潟へと二手に分かれる。盛岡のホテルに到着したナナに週刊サーチの三宅、「婚約祝い」を手渡すが、それはレン・レイラの写真だった。タクミ、成田にその件で呼び出されて・・・


感想
個々の心情がものすごく溢れていた13巻とはまた違って、何ていうのか、慌しく時間が過ぎていってるという気がしないでもありません。。。
ブラストはひたすら巡業の毎日だし、もちろんその中でいろいろあるんだけど、どうにも一ヶ所に落ち着いてないもんだから、読んでる自分も落ち着かない気がする(汗)。。。そんな日々のいろんな出来事、といった印象の14巻です。

ヤス一筋の「詩音」という女性が登場。この人は一体どう絡んでくるんでしょう?ホテルのヤスの部屋に入ったし、博多でも会いはしなかったものの、同じホテルにいたし。美雨が入っていったのと同時にすれ違ったの、連れの女性も、大阪のラジオ局で一緒にいた人だったし。鞠花やルイは詩音とは別の派閥(?)みたいだしね〜・・・。そして高校時代の回想シーンでも出てきてたし。。。まるで別人みたいだったけど(汗)。

そしてタクミを誘惑した(?!)澄香!!もうこのシーンは二度と見たくないのに(泣) クッキーで読んだ時は発狂しました。けど、今まで散々周りから「女ぐせが悪い」「スケコマシ」だと言われていたタクミなのに、そんな場面が今まで一切なかった。なので、これを最後に「もう浮気なんかしない」というメッセージなんだと思いたいです。自分に言い聞かせます。。。

今回、「名言」がたくさん出てきました。まずはヤス。
勝てるバクチは打たなきゃ損だろ 】 ガイアとブラストの契約の際の取り引き。そんなことがあったなんて、知らなかったし、ほんとに頭がいいなあと感心です。そしてノブと百合のことを話す時も、もう的を得た言葉ばかり!!ノブには痛いセリフだけど、まさしくその通りですよね。けどこのことでノブがちゃんと現実と向き合えたのでほんとによかった。

そして銀ちゃん。
人生はやり直しがきくって人はよく言うけど 人間は積み上げた過去を土台に生きてるんだから そう簡単にはいかないわよ。積み木を崩すことがやり直しだとも思えないし 踏ん張って積み上げて行けば いつか理想の形になるのかしらね
いやあ〜〜、ほんとにいい言葉だと思います。この言葉を胸に、私も生きて行きたいって思いました!(ほんと) 

で、シンがレイラに宛てたメール。
レイラさんを取りまいていたすべてのものが、今のレイラさんを作り上げたんだから 】 確かにその通り。若干16歳にしてこんなこと、なかなか思えないんじゃないかと思いますがどうでしょう?!立派なもんだ。過去もすべて受け入れるってことでしょう。現実には元カレ・元カノのことにやたらこだわる若者もいるでしょうに。過去があって今がある。今があって未来があるんですよね。過去は変えられない。けど未来は「今」次第。大切なのは「今」ってことです♪

んで、タクミ。
事実は事実としてありのまま受け入れろよ 】 そうですよね!奈々の言うとおり、普通は自分の主観なんかが入って多かれ少なかれ事実はねじまがる。簡単なようで実はすごく難しいことだと思うのですが、それをタクミは難なくこなしてるのかと思うともうますます惚れました(笑) ノブとのことはタクミにとってはつらい事実なはずなのに、それを受け入れるのも大変だったと思うけど、それでもそんな奈々自身を受け入れた。いやあ〜〜、すごいです!

後半、ジャクソンで奈々と美里(偽)が再会するんだけど、ほんとに都築舞は美里(偽)だったのね〜〜!!いやいや参りました。事務所に面接に来た時、まったくわからなかったです(汗)・・・

今回、あまり出番のなかった(?)ナナ。心情はほとんど表れてなかったですね。ヤスの部屋に美雨がいたことに動揺してたのと、ラストの写真見た場面で涙を流しただけ。その涙もショックからなのか、それとも・・・?って感じなんだけど。


「勝手に」 奈々の心理分析
11月10日、結婚記念日になるはずだった日。その日はタクミも家に居てくれた。仕事はいくらでもあったはずなのに、その心遣いが嬉しかった。きっとタクミはわざわざ口に出して言わなかったと思うけど、ちゃんとそれは奈々にも伝わってて、喜んでる。お互い、通じ合ってるってことですよね♪平気でノブの話をするタクミに「もう忘れたいの」と言うけど、それに対して「事実は事実として〜・・・」という言葉にはっとする。冷たいと感じていた部分はそうではなかった、ありのままの私を受け入れてくれた、と改めて実感する。
「新婚さんになりそこねた」と言いながらも、笑い合って朝食を食べる。オムレツのケチャップの絵柄、ネクタイの色、そんな他愛のないことに幸せを感じている。入籍するかしないか、そんなことよりも、日々の幸せの方が大事なんだと実感している。舞(美里)と再会し、夢に向かって走り出した彼女をうらやましいと思い、私だけ置いてけぼり、と思っても、それでも「守りたいものがある」と言い切った。「自分にとって一番大切なものはみんな違うんだから」と。。。

13巻でも思ったけど、さらにほんとに随分たくましくまりましたよね!!見違えるようです(笑)。あれだけ流されて、フラフラしてた奈々が、ようやく「自分の道」を見つけたんですよね。
「守りたいもの」はもちろん子供であり、タクミとの生活。それが今の自分にとって一番大切なもの。
そんな奈々だけど、なぜかやっぱり「707号室」という空間は必要で、とても大事な存在なんですよね。何ていうのか、「宝物」みたいな。もう使わなくなってしまったおもちゃだけど、どうしても思い出がたくさん詰まってて捨てられないおもちゃ。大事にとっておきたい「宝物」。そんな感じなんだと思います。


「勝手に」 レンの心理分析
レイラと故郷の海に到着したレン。いやあ〜〜、もうほんとに切ないわ!(泣)
結婚って何のための制度?って言いながらもナナにプロポーズした。それはヤスをナナの心の中から追い出すため。そのためにはその意味のわからない「結婚」ということしか方法が思いつかなかった。その紙切れ一枚の契約、それでナナを繋ぎとめようとすることをレン自身が一番虚しいと感じている。そばにいて欲しくて、自分自身を見て欲しくてしょうがないんですね。歌に向かっているナナを自分に向かせたくて、自分のことだけ考えて欲しくて。

「本気でナナのこと殺したくなるんだ」。私には恐いですね、こういう愛って。確かに殺してしまえばもうどこにも行かないし、自分だけのものになるでしょう。でもほんとにそれでいいと思うのかどうなのか?!うーん、難しい・・・(汗)

50話のラストでついに鼻から吸引する「コカイン」になってしまってますね!!
レン〜〜!!(泣)大丈夫かあ〜〜??もうほんとに弱い人なんだなあって思います・・・


「勝手に」 ノブの心理分析
博多まではるばる会いに来た朝海を想い、「おれはやっぱり愛に生きるよ」と言ってはいるものの・・・。ヤスから行方不明になっていること、そして百合の契約のこと、いろいろ話を聞き、かなり考え込む。「金の問題じゃない、正義漢ぶるな、ビデオは一生残る、奈々ちゃんが何でタクミを選んだのか」 現実という現実がノブを襲う。そうですよ、まさしくヤスの言うとおり!惚れた腫れたじゃすまされない「現実」という問題。さて、ノブはどうするのか、ものすごく興味津々。ここでノブの朝海に対する想いがはっきりするというもの。果たして部屋まで会いに行くのか行かないのか?!

・・・と思ってたら、ちゃんと会いに行きましたねー!そして百合に寮に戻るよう説得。なかなか素敵じゃないですか。「あたしがエロビデオ出てても平気なの?!」には「それは別問題」、「出てってよ!」には「おれが出てったら何か解決すんの?」うんうん、その通り!
大阪のホテルで「誘惑に負けただけ、絶対本気で惚れてなるものか」と言っていたのは自分に言い聞かせてたんですねー。全国のビデオショップに火をつけて回りたくなる、その気持ちはうそじゃないだろうけど、それをもう割り切ったからこそ「別問題」と言えたんでしょう。違約金を払うこともできない、自分には何もできない、そんな自分を受け止め、「香坂百合」の仕事を受け入れ、彼女がやり遂げるまで見守ることを決めた。簡単なことじゃないと思うよ!自分の惚れた女がAV女優として仕事してるなんて。私は男じゃないのでそれがどれほどのものかよくわかりませんが。。。
「そのあとは朝海一人ぐらい食わせていけるように」なんて、まるでプロポーズじゃんよ〜〜!!よく言ったノブ男!!

百合の過去はまるでわからないけど、ヤスが言ったことが真実だとしたら、このノブの一言はものすごく心強いものでしょうね。百合にとって初めての男なんじゃない?うさぎの耳つけて「いらっしゃいませ〜」がけなげで可愛いと思いました(泣)


回想シーン
52話、高校時代のヤス・レイラ・タクミ・レン。これはレイラの回想なんですね。レイラがこのレンの倉庫に行ったのは1回きり、でも思い出深い1回。思い出しながら話す「どんなに追いかけても振り向いてくれない初恋の人」というのはタクミですよね。そして失意のどん底だったのに、笑っていられたのはヤスがいてくれたから。絶対大切にしようって誓ったのに、トラネスのために捨ててしまった。しかしレイラはそれを後悔することはなく、ひたすら前向きに頑張ろうとしているところが素敵だと思います。今はシンがいるし、って感じかな。

この高校時代の場面はレイラの想いもそうだけど、ヤスの気持ちもとてもよく現れていると思います。しかしここでも詩音が・・・謎!!そしてレンの密かな失恋?!本気でレイラが好きだったんですねえ。タクミもレイラをすごく大切にしてるっぽかったし。いろいろ詰まった回想シーンでした♪


モノローグ
ナナの最後の言葉が 今も希望と絶望の間を行き来する
独り言みたいに 小声でつぶやいたよね   「 海 が 見 た い 」

ナナが今 一番大切にしているものは  何?
全部置き去りにして   今  どこにいるの?

ほんとにもう、衝撃的でしたよこの言葉は。。。(泣)
クッキーの感想でも書いてるので多少は重複しますが、「ナナの最後の言葉」ですよ?!どうですか、これって!!まだ「最期」じゃないだけいいかとは思いますが。これだったら明らかに死んでるし(泣)!!
そしてその言葉が「希望と絶望の間を行き来する」ってどういうことなんでしょう?ナナは「全部置き去り」にしてるんですよ。それは荷物をまとめてどこかへ行ったわけではないってことですよね。「今 どこにいるの?」ってことは、ナナの居場所は奈々を含め、誰も知らないんだ、ってことがはっきりした。・・・とクッキーの感想では書いたんですが、もしかしたら奈々だけが知らない、って状況も考えられますね!うーーん、どこまでも謎が付きまとう・・・

私はNANAを読み始めた当初から「ナナ自殺未遂説」を予想してるんですが、しかしそれがどういう状況でそうなるのかはいまだに疑問。そしてそれは日々、いろんな想像でかき乱される(汗)。「こうかもしれない、いや、そうじゃなくてこんな感じかも」みたいに・・・

こんな具体的なモノローグは心臓に悪いです(笑)